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光るタンパク質:GFPの謎

日本人のノーベル賞受賞記念ということで、ブログの更新をします。


GFPの発見によって、下村脩さんにノーベル化学賞の受賞が決まった。受賞理由には「緑色蛍光たんぱく質(GFP)の発見と発光機構の解明」とある。生物発光は基本的に化学反応によって発光する。これを化学発光と呼ぶ。


生体内ではカルシウムイオンとイクオリンが反応し、フェルスター型エネルギー移動により、GFPが発光する。また、紫外線によって直接GFPを電子励起することによっても発光する。この発光メカニズムは謎に満ちている。


GFPの発色団だけを取り出して、バルク溶媒中で紫外線を当ててもほとんど発光しない(蛍光寿命は数ピコ秒オーダー)。これはチロシン誘導体である発色団のOH基に対してパラ位の官能基が構造変化することにより無放射失活を誘起しているためと考えられている。一方、タンパク質中では構造変化が抑えられるため、バルク溶媒中に比べてはるかに強い発光を行うことができるようになる。


Ultrafast fluorescence of the chromophore of the green fluorescent protein in alcohol solutions


An ultrafast polarisation spectroscopy study of internal conversion and orientational relaxation of the chromophore of the green fluorescent protein


励起状態における光酸としてのGFP発色団の挙動に関しても、最近になってようやく解明され始めてきたようだ。たとえば、タンパク質中の水の振る舞いはバルク溶媒と異なり、GFP発色団のプロトン移動を著しく誘起していることが観測から示唆されている。イスラエルの研究チームのノーム・アゴモンらによれば、発光挙動の解析から一次元のプロトン移動が起きていることが推定されている(発光寿命の漸近挙動が一次元のパワー則で減衰することによる)。これを彼らはプロトン・ワイヤー機構と呼んでいる。


Kinetics of Switchable Proton Escape from a Proton-Wire within Green Fluorescence Protein


Deactivation mechanism of the green fluorescent chromophore




ここからは余談になるが、タンパク質中における水の振る舞いに対する研究は、これからますます重要性を浴びるだろう。なぜなら、生命現象を解明する上で水の挙動が決定的に重要な役割を果たしているのはほぼ間違いないと考えても言いからだ。しかし、世間的には、いわゆる「水のクラスター」という言葉がニセ科学商法に利用されたりと、水に対する怪しい商売は実に多い。「水からの伝言」という本では、水に言葉をかけると結晶の形が変化するとの説が流布された。確かに、水は生命現象にとって重要ではある。水のニセ科学が流行るのも、いまだ解明とは程遠い水の複雑な振る舞いが一役買っているのかもしれない。

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