スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

書きかけメモ

* この「書きかけメモ」は、まだ途中のものです。


分子間相互作用からマクロな物性の構築を目指して


私はここで、水蒸気から雲などの変化、つまり気相と液相を結ぶ光化学的な考察を試みたいと思う。しかし時間、実力ともに不十分なため、参考文献をメモしただけで筆が止まっています。そこで、とりあえずの掲載ということで、ご容赦いただきたい。


私はこれまで水分子についての考察は行わなかった。それはCO2に比べてはるかに取り扱いが難しいからだ。水蒸気の場合、二量体や三量体を形成することが知られている。では雲のようなマクロな液体としての物性が生じるのは何分子からだろうか。これは雲の形成メカニズムにも関わる問題ではないかと思う。また、気体と液体では、水分子の放射・無放射緩和過程にどのような相違が起こるのか。さらに水素結合の役割とは何か。これらの問題について幅広く知見を集めたいと思う。



励起寿命の間にほかの分子と相互作用のない場合(孤立分子)と相互作用のある場合(高圧気相分子、溶液系、クラスター分子、固相分子など)とで無輻射過程は実質上異なっている。孤立分子の場合、無輻射過程は分子の準位間の相互作用で等エネルギー的な遷移であり、エネルギーの交換を伴わない。分子間の相互作用のある系でも無輻射遷移の定義は孤立分子の場合と同じである。しかし低振動数の分子間振動あるいは格子振動がきわめて多く存在するため、周囲の分子は熱エネルギーを受け取る“熱浴”として作用する。したがって過剰の振動エネルギーはきわめて速やかに(~10-10秒以下)熱として分子系から溶媒あるいは格子系へ逃げてゆき、この間エネルギーが失われる。

日本化学会編 『実験化学講座 分光Ⅱ』 丸善、(1992)、p340


5「分子間振動」
水の赤外吸収スペクトルから、…(中略)…さらに、800~400cm-1の低波数領域にも、なだらかな吸収バンドが認められる。この領域での吸収は、水分子間の水素結合構造の回転振動(これを「束縛回振」という)に起因するものとされている。
…(中略)…
水分子が、水素結合による「分子集団」として行なう「直線的な振動(束縛並進)」による吸収バンドは、「200cm-1」付近に現れ、さらには、水素結合の曲りに対応する基準振動が「60cm-1」に現れるが、これらの振動エネルギーは50μm以上の「遠赤外線」および「マイクロ波」の吸収に対応している。


6「相転移」
次に、「氷」→「水」→「水蒸気」という水の「状態変化(相変化)」にともなう遷移エネルギーに着目してみると、氷の融解にともなう内部エネルギーの変化は、1分子あたり「0.06eV」であり、蒸発にともなう水の内部エネルギーの変化は、1分子あたり「0.39eV」である。これらの遷移エネルギーは、いずれも遠赤外線の光子エネルギー範囲に含まれている。

高田 紘一他『実用遠赤外線』人間と歴史社、(1999)、p44


水膜の厚さが1~10μmぐらいまでは、上記のような選択性が残るが、層膜の増大とともに、吸収と透過に対する選択性がなくなり、1mm以上の厚さの水膜は、3μm以上の遠赤外線をほぼ100%吸収することが報告されている。

高田 紘一他『実用遠赤外線』人間と歴史社、(1999)、p66


 

水が何らかのエネルギーを吸収して遷移を起こした場合、その作用点によって元の準位に復帰するまでの緩和時間が異なる。軌道電子の遷移が起こった場合には、何らかの化学反応が起こる。格子振動励起が起こった場合は、10-14~10-13秒で緩和する。並進もしくは回転励起が起これば10-11~10-5秒の間に緩和する。
 このように純粋な水の場合は、励起状態からの緩和過程が非常に短く、したがって、励起状態が長時間持続することはない。
 ただし、「固相→液相」、「液相→気相」などの相変態を伴う遷移は、分子集団の中で部分的に進行するので、目視観測が可能なほど緩慢である。

高田 紘一他『実用遠赤外線』人間と歴史社、(1999)、p344


水分子の基準振動の数は、3N-6(N:原子数)、すなわち、3個で、O-H伸縮振動ν1、ν3および変角振動ν2である。これらの振動数は同じH2Oでも、氷、水、水蒸気で異なっている。赤外領域ではこれら基準振動のほかに、これらの高調波、振動-回転、およびこれらが組み合わされた振動、さらに分子間振動など数多くの吸収線が存在する。
 残念ながら、H2Oについては、分子振動に伴う振動吸収帯の絶対強度は理論的に未だ決定されていない。そこで文献などによる赤外光学定数の実測データを基に減衰係数の周波数特性を考察せざるを得ない。

最新光システム総合技術』R&Dプランニング、(1987)、p514


無放射遷移に関する理論と発展


無放射遷移の理論的な取り扱いにおける最初期のものとしては、おそらく1963年のRobinson-Frosch Formulaを挙げることができる。今日では一般に「フェルミの黄金則(Fermi‘s Golden Rule)」と呼ばれる状態から状態への遷移速度に対する非常に汎用性の高い式を用い、それを土台として無放射遷移に対する議論が行われている。


フェルミの黄金則は時間に依存したシュレディンガー方程式の摂動論を用いた近似解から導かれる。無放射遷移に対する理論と実験の発展はレーザーの開発に負うところが大きい。土屋荘次のレーザー化学―分子の反応ダイナミックス入門』 によると、分子内の無放射遷移に関する研究は1970年代から活発になったとされる。


とくに最近では、超高速分光法を用いることで、DNAを構成する核酸塩基が超高速で電子励起状態から基底状態へと失活することが明らかとなった。さらに、理論計算によって、この無放射緩和過程の失活経路として、「円錐交差(Conical intersection)」などによる失活メカニズムが提案されている。


無放射遷移に対する理論的な取り扱いを行った初期の論文


Electronic Excitation Transfer and Relaxation
G. W. Robinson and R. P. Frosch, J. Chem. Phys. 38, 1187 (1963)


Intramolecular Radiationless Transitions
Mordechai Bixon and Joshua Jortner, J. Chem. Phys. 48, 715 (1968)


内部変換(Internal_conversion


分子内非放射遷移の実験と理論は、1970年代に大幅に進歩した。実験面で、レーザーと微弱光測光の技術的進歩により、孤立分子の単一振電状態からの螢光の減衰過程が追跡できるようになったことが大きく貢献している。……
非放射遷移と振動緩和には類似点が多い。両者に共通するFreed & Nitzan (1980)のモデルについてはすでに4・3・1項で説明した。非放射遷移と振動緩和の差異は、原因となる相互作用の由来にある。統計極限における非放射遷移の速度は式(4・32)で求められるが、この式の相互作用行列要素Wslは、以下のように評価できる。

土屋荘次編 『レーザー化学―分子の反応ダイナミックス入門』 学会出版センター、p154



βelIC(k)は電子波動関数に関係するモードkに依存した項で、


βelIC(k)≃<ψsABO(q,Q)|δ/δQklABO(q,Q)>


である。式(5・15)が単純化したモデルに基づく内部変換の行列要素の表現である。右辺の和のうち、対称性の制限などにより少数の項のみが残るとき、そのkに対するモードを促進モード(promoting mode)と呼び、これが振動励起されると積極的に内部変換を加速する効果をもつ。i≠kの残りのモードが受容モード(accepting mode)と呼ばれ、重なり積分の項を通して内部変換に伴う過剰エネルギーを受容する。

土屋荘次編 『レーザー化学―分子の反応ダイナミックス入門』 学会出版センター、p155


ここでは主に多原子分子による無放射緩和過程についてまとめました。また、なぜ多原子分子に注目したかというと、単分子では離散的なエネルギー準位を示すものでも、二量体や多数の分子からなる凝集体を形成することで、分子間相互作用による状態密度の増加といったことが期待されるからです。つまり、分子内の振動・回転モードのカップリングは、分子間相互作用によるモードのカップリングに対して、類似のメカニズムが適用される部分も少なくないであろうと考えています。

多原子分子の振動緩和の原則的な機構は次のようになる。最初に、振動モード内のエネルギー準平衡分布の成立に向かう過程があり、次に、モード間の準平衡分布状態へ向かって緩和する。最後に、V-Tエネルギー移動によってゆっくりと分子は振動エネルギーを失うことになる。比較的単純な分子についてこの機構が証明されている(Flynn、1981)。

土屋荘次編 『レーザー化学―分子の反応ダイナミックス入門』 学会出版センター、p89


非放射遷移では、5・2節で述べるように、生成する基底電子状態のacceptingモードが励起されやすいため、その意味で初期状態はモード選択的に生成する。たとえば、Naaman et al. (1979)は、グリサオキザールのS1状態の特定の振動状態を励起し、内部変換により基底電子状態の高振動励起状態を生成した。その状態をさらにプローブレーザー光で励起して生じる螢光を用いてモニターした。この励起スペクトルは、低振動数の振動モードの結合音がacceptingモードとなっており、またそこから分子全体への振動緩和はかなり遅いとしている。


しかし、大きな分子ではacceptingモードも分子全体の熱浴モードに混合し、全体で疑連続状態をなしていると考えられる。これが完全に統計的であれば、生成した振動励起分子はRRKM理論に従うはずである。

土屋荘次編 『レーザー化学―分子の反応ダイナミックス入門』 学会出版センター、p124-125


一光子遷移による励起では、許容遷移のときはFranck-Condon因子により決定される振電準位へ、禁制遷移では光学モードが励起された振電準位への励起が可能である。

土屋荘次編 『レーザー化学―分子の反応ダイナミックス入門』 学会出版センター、p145


分子のある振動モードに励起エネルギーを与えたとき、そのエネルギーはそのモード内に平衡分布に向かってエネルギー移動が起こる。次にモード間のエネルギー移動によって振動モード全体に平衡的に分配される。最後にV-Tエネルギー移動によってまわりの第三体気体と温度平衡に達する。複雑な多原子分子の場合、振動モードの数が多いので振動状態分布が平衡に達する速度が大きい。かつ、振動数の低いモードをもつのでV-Tエネルギー移動を通して温度平衡状態に短時間で到達する。また、まわりの第三体気体の圧力が高いときには温度平衡状態がつねに保たれると考えてもよい。

土屋荘次 『はじめての化学反応論』 岩波書店、p134


とくに4原子分子よりも複雑な分子では、振動準位間の共鳴・近共鳴のいろいろなエネルギー移動の経路が可能となって、分子内エネルギー平衡分布のもとでの化学反応となる。一方、2、3原子分子の化学反応の場合、化学反応が非平衡のもとで進行することがある。つまり、化学反応の速度を支配するのが、エネルギー移動の速度となる。

土屋荘次 『はじめての化学反応論』 岩波書店、p135


われわれが観測する化学反応は、特別の場合を除けばきわめて多くの反応分子どうしの反応である。したがって、求められた反応速度定数、または、反応断面積は、いろいろな量子状態の反応分子についての統計平均である。それぞれの分子は反応温度で決まる量子状態分布(カノニカル分布)をする。ただし、その前提として分子内・分子間エネルギー移動の速度が反応速度よりもずっと大きいという条件を満たす必要がある。この条件を満たす場合の統計理論は遷移状態理論である。


一方、ある種の化学反応で分子内のエネルギー移動は反応速度よりも大きいが、分子間のエネルギー移動が反応速度を律している場合がある。この場合、遷移状態においてミクロな統計分布状態(ミクロカノニカル分布)は成立しているが、遷移状態を含め反応物の各量子状態の分布には温度平衡が成立しない。このような非平衡状態下の反応を統計論的に扱うのが単分子反応理論である。

土屋荘次 『はじめての化学反応論』 岩波書店、p137

theme : 宇宙・科学・技術
genre : 学問・文化・芸術

comment

Secret

プロフィール

TheorySurgery

Author:TheorySurgery
社会科学と疑似科学の際どい境界線を探りながら、文系と理系の学問の乖離やらを考えています。分光学を視点として温暖化懐疑論も展開してます。

温暖化論を学ぶための入門用ホームページつくりました。↓ ご意見承ります。
| HP | BBS | MAIL|
コメントの返事は遅めかもしれませんが、コメント、トラバ、リンク、議論など、できるだけ対応します。

最近の記事
全ての記事を表示する

全ての記事を表示する

ブログ内検索
最近のコメント
カテゴリー
月別アーカイブ
Favorite song

・Jeff Beck & Jennifer Batten
What Mama Said
・The Black Crowes
Remedy
・Jimi Hendrix
All Along the Watchtower
・Jeff Buckley
Grace
Mojo Pin
・Yardbirds
幻の十年
・Arctic Monkeys
A view from the afternoon
・Jefferson Airplane
White Rabbit
・Beatles
Helter Skelter
・Bad Company
Wishing Well
Joe Fabulous
・Cream
I Feel Free
Crossroads
・Montrose
I Got the Fire
・Eric Clapton
Forever Man
・AC/DC
Dirty Deeds Done Dirt Cheap
・Johnny, Louis & Char
Finger
・Rock'n Roll Standard Club Band

QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSフィード
管理人ホームページ

マスコミに踊らされないための地球温暖化論入門
温室効果ガスの分光学:励起状態ダイナミクス
水蒸気フィードバックと気候感度の妥当性
コンセンサスとは
お勧め図書

管理人掲示板

Eco-logical is non-logical:BBS

World Climate Widget
温暖化懐疑論サイト

『環境問題』を考える
思えばバカな企画だった
ひと味ちがうリンク集
温暖化は進んでいるか
いわゆる「温暖化防止」の罵倒論
地球温暖化は人類の責任ではありません

太陽活動と気候の関係
太陽関連

ひので(SOLAR-B)
ようこう(SOLAR-A)
SOHO (探査機)
宇宙天気ニュース
太陽地球環境研究所
「太陽」に関連したホームページ
J-STORE(明細:黒点数の予測方法)
宇宙の科学 第3章 太陽
The Sun in Motion

温暖化関連
環境団体とか

反捕鯨団体あれこれ
動物保護運動の虚像
クジラ戦争30年
World Hunger: Twelve Myths
ゴールド・トーマス『地底深層ガス』

リンク
フリーエリア

環境問題が解決しないのは、何で?
オーロラの旅
日本の古本屋
オンライン書店比較サイト
The Internet Journal of Vibrational Spectroscopy
Science和文要約
Nature Asia-Pacific
サイエンスポータル
日英・英日機械翻訳(科学技術分野)
エキサイト翻訳
Yahoo!翻訳

疑似科学など

「科学とニセ科学」レジュメ(ver.2)
疑似科学批評(マイナスイオンその他)
ブレジンスキー 『大いなる失敗』
Skeptic's Wiki
OPEN UNIVERSE of the Japan Popper Society
懐疑論者の祈り

最近のトラックバック
MUSIC LINK

脳みそサラダ外科

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。