太陽活動の変動周期メカニズムの謎
数十年から数百年規模で起こる太陽黒点の長期周期のように、太陽活動の変動に対するメカニズムはいまだ謎が多く、未解明なまま残されている。しかし、太陽活動と気候の関係や、果ては経済の浮き沈みとの関係まで指摘する声も少なくない。イースターブルックの予測
氷河などの地質学の専門家であるDon J. Easterbrookは、気候と太陽活動の関係にも注目しており、ベーカー山の氷河の後退と進展の周期が太陽活動の変動やPDO(太平洋十年規模振動)と相関関係を示すことを明らかにした。

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さらに、Easterbrookは、CO2などの温室効果ガスよりも太陽活動を重視としたときの今世紀の気温変化を次のグラフのように予測している。

Global warming: Are we heading for global catastrophy in the coming century? (Global climate changes, global warming)
このグラフによると今後2040年ごろまでは若干の寒冷期に入ると予測されている。この予測は、これまでの寒冷期と温暖期の周期がそのまま繰り返されるとしたときのものであり、観測された太陽活動の周期的な変動による経験則から導き出されたものだ。実際にこの予測の通りに行くかは誰にも分からないと思うが、ロシアの科学者でも今後寒冷化すると予測しているものもいるようだ。
温暖化議論は早晩、寒冷化論議に取って代わられる, オレグ・ソロフチン, ロシア・ノーヴォスチ通信太陽の熱放射の活発化を研究している天文物理学者は、活発化が2つのサイクルで起こることを発見した。11年縁サイクルと2世紀のサイクルで起こるのだ。どちらのサイクルになるかは太陽の発行表面の半径と面積の変化によって違ってくる。最近のデータによれば、(私は、プルコフ天文気象所宇宙研究所のハビブルルイ・アブサマトフ所長のデータを尊重しているが)、すでに2012年までには、肌で感じるほどの寒冷がやって来ると信じている。寒冷気候は、少なくとも、50-60年は続くだろう。
無黒点
現在、太陽黒点がまったくない状態が観測されており(低温注意報)、2004年にも無黒点の日が何日か観測されている(太陽活動サイクルにばらつき)。もっとも今は太陽黒点の11年周期の極小期に該当するので、しばらくすれば、また黒点が復活するものと予測されている(Sunspot index graphics)。
ちなみに、2006年当時の国立大気研究センター(NCAR)の研究者らの見解によると、「活発化へ転じる時期は、従来の予測より1年ほど遅く、2007年後半から08年初めになる」とされていた(参考:太陽活動再び活発化へ)。
次のサイクルの極大については、「2011年ごろで極大のときの黒点数は140前後でけっこう活発になるというもの、もうひとつは次の極大は2012年ごろで極大のときの黒点数は90前後とそれほど活発にはならない」という二つの論に分かれているようだ(NICT トピックス)。
いずれにせよ、今後の太陽活動の動向には、もっと注目が向けられてもいいように思う。太陽活動の指標は太陽黒点のみで判断することはできないが、かといって完全に無視できるものでもない。これからの太陽活動と気候の関係の研究の発展にも期待したい。
太陽黒点のメカニズムについて b.太陽の活動
黒点情報 宇宙天気情報センター(NICT)
太陽の動向について 宇宙天気ニュース
最新の太陽画像 The latest MDI Continuum images
イースターブルックの予測は周期的な変動から導かれているので、時間反転したものとちょうど重なるように対称性が保たれている。

一般にフラクタルは空間的・幾何学的な構造において見出される現象ではあるが、マンデルブローにより時間-相場空間においてもフラクタルが見出される場合があると指摘している。マンデルブローは「1880年から1958年にかけて綿の相場がどのように変動したか」を調べたところ、1880〜1958年の約1世紀、1944〜1945年の一年間、1945年のある一ヶ月の相場の変動が自己相似性を示すことを明らかにした(カオスとフラクタル, p35)。もっとも現時点ではランダム・ウォークよりもフラクタルの方がよく当てはまるというだけのことに過ぎない(参考:フラクタルで株式相場の変動を読む)。*
長時間テイル
凝縮相中における化学反応は一般に指数関数的に減衰するものとして扱うことが多い。しかし、反応速度が拡散律速として観測されている場合は、本来、指数関数で近似することはできない。拡散過程が長期にわたって反応に影響をおよぼす場合、その反応は非指数関数的に減衰する。非指数関数的な減衰は生体膜などの不均一系においても観測されることがある。
拡散現象は誤差関数を用いて表すことができる。その漸近挙動の近似として、しばしパワー則(ベキ則;Power Law)が用いられ、実際の現象としても観測されている。たとえば、コーヒーの中のミルクの拡散速度は時間のべき乗に比例する。
べき乗で拡散する時間変化は、指数関数的な減衰と比べると、急速な減衰は起こらず、長い尾を引きずるように長期にわたってゆっくりと減衰する。これを長時間テイル(long-time tail)と呼び、化学反応などでは、拡散過程が影響しているかどうかの判断材料として目安にすることもある。
太陽活動が気候に及ぼす影響に短期的・長期的なタイムラグがあるとすれば、それらは拡散現象が関係している可能性もあるのだろうか。地球大気におけるエネルギーの散逸過程は南北の熱輸送や様々な輸送現象が関係しているものと考えられる。とくに長期の遅延効果は、海洋のダイナミクスと密接な関係があるのではないだろうか(温度変化に追随してCO2の増減が起きているとの指摘もあり、それは海洋とCO2の密接な関係を示す証左ではないだろうか)。とにかく、短期的・長期的な変動に関係すると思われる現象を詳細に追うことで、ある程度、太陽活動と気候の関係を追跡できるようになるのではないだろうか。
* 景気循環と太陽活動の関連が少なからず指摘されており、それらを結ぶ鍵が気候との関連である(永井俊哉 気候と経済)。気象はカオスの代表的な現象でもある。長期的な気候変動の揺らぎがカオス的な挙動を示す可能性も十分に考えられるが定かではない。太陽-気候-景気に何らかの関係性があってもおかしくはないが、そのメカニズムについては今後の解明が待たれるところだ。それは経済学と太陽、気候などの研究を合わせた学際的な分野になるだろう。エントロピー経済学などはまさに学際的な色彩が強いと思うが、自然科学の方法論を積極的に取り入れる試みがこれから盛んになるのかもしれない。これは文理融合の一例ともいえるのではないだろうか。

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