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大気化学の常識は光物理化学の非常識:温室効果ガスによる再放射の妥当性

無放射緩和過程を無視する大気化学のテキストにおける杜撰な説明

Daniel J. Jacobによる「Introduction to Atmospheric Chemistry」(Princeton University Press, 1999)という大気化学の入門書のテキストの内容がネットでも公開されている。第七章には温室効果の説明があったが、それは光物理化学的な視点からすると、著しく妥当性に欠ける記述がなされていた。


7.3.3 Interpretation of the terrestrial radiation spectrum

By contrast, in the strong CO2 absorption band at 15 μm, radiation emitted by the Earth's surface is absorbed by atmospheric CO2, and the radiation re-emitted by CO2 is absorbed again by CO2 in the atmospheric column.


対照的に、15μmの強いCO2吸収帯において、地表面によって放出される放射は大気のCO2によって吸収されます。そして、CO2によって再放出された放射は、大気柱中のCO2によって再び吸収されます。



この記述は江守正多氏による温室効果の説明にも共通して見られるものだ(二酸化炭素の増加により温暖化する「証拠」)。しかし、いずれも光物理化学的には間違いである(温室効果ガスの分光学:励起状態ダイナミクス)。地表からの放射としては主に赤外線が放出されている。この赤外線(光子)を吸収した分子が、再び同じ波長の赤外線を放出する確率はきわめて小さい。


なぜなら、振動励起状態の寿命よりも、分子衝突による頻度の方がはるかに高いからだ。分子衝突が起こると、励起状態は放射を伴わずに基底状態へ失活する。この放射を伴わない励起状態の失活過程を無放射緩和過程といい、光化学の分野では重要な素過程として、いまも研究が行われている。


超高速で起こる無放射緩和過程により守られている核酸塩基

たとえば、アデニンのような核酸塩基の電子励起状態は、数百フェムト秒というものすごい速さで緩和することが知られている(Femtosecond fluorescence up-conversion spectroscopy of adenine and adenosine)(Implications for the Nonradiative Decay Mechanism )。


核酸塩基はオゾンによる紫外線の吸収帯とほぼ一致している。もし、オゾンがなければ、核酸塩基は紫外線により電子励起される。しかし、核酸塩基の励起状態が超高速で緩和するおかげで、有害な紫外線からDNAをある程度守る役目を担っているのではないかとも言われている。この無放射緩和過程のメカニズムはいまだによく分かっていないが、円錐交差(Conical Intersection)という励起状態と基底状態間の三次元のポテンシャル上の相互作用が重要ではないかとも考えられている(Conical Intersections Responsible)。


次世代ディスプレイとして注目されている有機ELの実用化を妨げているひとつの要因は、この無放射緩和過程による発光収率の低下があげられる。これは、有機ELに用いられる発光材料がイリジウム錯体などのりん光を用いた分子が多いためでもある。とくに赤色の発光材料はエネルギーギャップ則により、どうしても発光収率が落ちてしまうという欠点がある。


有機ELは有機分子であるがために時間とともに劣化してしまい、1万時間も満たない使用時間によって輝度が著しく減少するという欠点もあった(液晶の寿命は約5万時間)。最近はやりのLEDを用いた電球にもやはり発光材料に有機分子を用いたものも開発されてきている。(有機ELは日本だけの呼び方であり、外国ではOLEDとよぶ。原理的には電荷再結合により生じる励起子によって励起状態への遷移が起こる。)


温室効果ガスといえども無放射緩和過程と無関係というわけではない。むしろ重要な励起状態の失活過程として十分な吟味が行われなければ、それを温暖化のモデルのためにパラメータ化するなどということは事実上、不可能なことではないだろうか。分子論的なメカニズムを無視して、マクロな現象を説明することは出来ないはずだ。マクロな現象の裏には必ずミクロな現象による裏づけがなされているはずなのだから。

theme : 宇宙・科学・技術
genre : 学問・文化・芸術

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熱力学第三法則 絶対零度 到達不可能

The Black Crowes-擬似科学の行方を追跡するブログ- 大気化学の常識 ... むしろ重要な励起状態の失活過程として十分な吟味が行われなければ、それを温暖化のモデルのためにパラメータ化するなどということは事実上、不可能なことではないだろうか。分子論的なメカニズム...

comment

Secret

単純な疑問と言うか、質問です

 私は、「光物理化学」という分野には疎く、『無放射緩和過程』という用語も初めて目にしました。

 そこで、この記事を読んでの単純な疑問ですが、
分子衝突により、放射を伴わずに基底状態へ失活したとき、赤外線を吸収した励起状態のエネルギーは、どこにいくのでしょうか?
分子の運動エネルギーになるなら、それは、熱エネルギーになるという事ですから、温暖化という事だと思います。

さらに、
>赤外線(光子)を吸収した分子が、再び同じ波長の赤外線を放出する確率はきわめて小さい。

という事は、放射した場合にも、他の波長の赤外線または、電磁波を出す可能性もあるということでしょうか?
その場合、波長は、吸収した波長15μmと比べて、短くなるのでしょうか?長くなるのでしょうか?
8~12μm辺りに短くなるなら、大気の窓周辺の波長になり、地球の外に出て行くので、温暖化の原因にはなりませんが、長くなる場合、H2Oに吸収されて、それこそ、温暖化説派の、CO2トリガー説の擁護になってしまうように感じます。この場合、波長は長くなるように感じますが・・・


>分子論的なメカニズムを無視して、マクロな現象を説明することは出来ない
 
 と言う事には私も賛成ですが、槌田敦さんは、エントロピーなどに、統計力学的なアプローチは必要ないと言っています。

 私は槌田氏の環境問題に対する洞察は本質を突いていて、素晴らしいと思うのですが、分子運動論的なアプローチを必要ないという考え方には、賛同出来ません。

再放射の収率は10^-6%のオーダーです

振動励起分子の励起エネルギーは、分子衝突によりエネルギー移動が起こり、他の分子の運動エネルギーになります。私が「同じ波長」とあえて強調したのは、「再放射」を意識したためであり、特にそれ以上の意味はありません。


もし再放射をするとして、同じ波長でも長波長でもかまいませんが、吸収したエネルギー以上に大気を暖めることは出来ないと思います。もし、仮に吸収や放射を繰り返したとしても、エネルギーが増えることはありませんし、最終的に運動エネルギーに変換した時点で、その周囲の分子を暖めて終わるだけだと思います。


>>槌田敦さんは、エントロピーなどに、統計力学的なアプローチは必要ない


これはどういう文脈で言われたのか気になりますね。大局的な見地を持てということなのだろうか。ただ、エントロピーは物理の根本的な法則なので、私たちの想像以上に汎用性の広い概念なのかもしれませんね。

CO2温暖化説肯定派の論理に見えます。 

>吸収したエネルギー以上に大気を暖めることは出来ない
 と言うのは、全くその通りです。エネルギー保存則です。
 『再吸収』と言ってる方々が、そのたびに大気を暖めるような言い方をしているならば、大いに問題ですが、(詐欺です)CO2温暖化肯定派もそこまで馬鹿ではないでしょう。

>他の分子の運動エネルギーになります 

と言うことは、熱になると言う事ですから、結局温暖化の原因と言うことですか?
 そのままCO2にのみ吸収を繰り返すなら、飽和と言うことも言えますが、「再放射」が他の分子に広まっていくと言うことは、まさにCO2温暖化説肯定派の「対数比例」の根拠になってしまうのではないでしょうか?

>>槌田敦さんは、エントロピーなどに、統計力学的なアプローチは必要ない

 は、彼の著書「熱学外論」の第一部の前半で述べています。p12~p60あたりです。

たとえばp59には、

「統計力学でエントロピーは説明できる」という人がいる。しかし、この理論は逆であって、「エントロピーの原理に抵触しない統計力学が得られた」というべきなのである

と、記されていて、私は全くこの論理には賛成できません。この点では、槌田氏を信頼していません。
しかし、この本の後半の第2部は素晴らしく、目から鱗の部分が多く、まだ年半ばですが、私は今年出会った「最高の本」と考えています。(笑)

肯定派に惑わされていませんか?

>吸収したエネルギー以上に大気を暖めることは出来ないと言うのは、全くその通りです。エネルギー保存則です。
 『再吸収』と言ってる方々が、そのたびに大気を暖めるような言い方をしているならば、大いに問題ですが、(詐欺です)CO2温暖化肯定派もそこまで馬鹿ではないでしょう。
■実はそれほど馬鹿なことを平気で言っています。例えば江守正多によるhttp://www-cger.nies.go.jp/qa/4/4-1/qa_4-1-j.htmlなど。

>他の分子の運動エネルギーになります 

と言うことは、熱になると言う事ですから、結局温暖化の原因と言うことですか?
 そのままCO2にのみ吸収を繰り返すなら、飽和と言うことも言えますが、「再放射」が他の分子に広まっていくと言うことは、まさにCO2温暖化説肯定派の「対数比例」の根拠になってしまうのではないでしょうか?
■ここは少し違うでしょう。あくまでも大気の温度がどのように決まっているかということです。勿論、地球放射は温室効果ガスによって捕捉され、主に分子衝突によって大気全体に分配され、大気運動、熱伝導、赤外線放射などを通してほぼ定常的な大気温度構造を形成していると考えられます。『赤外線を放射を繰り返すから気温が上昇する』というエネルギー保存則を無視した幼稚な考えが江守の主張ですが、これとはまったく別の問題です。ポイントは、一次的に波長15µm付近の地球放射を吸収するのには、現在の大気の二酸化炭素濃度で必要十分であり、いくらこれ以上二酸化炭素濃度が増えたとしても、不活性分子が増えるのと同じ意味しかないと言うことでしょう。
■問題は等時的な熱平衡状態を考えているのであって、通時的に赤外線放射を繰り返すなどと言うごまかしに惑わされてはいませんか?これは話が全く違います。


>>槌田敦さんは、エントロピーなどに、統計力学的なアプローチは必要ない

 は、彼の著書「熱学外論」の第一部の前半で述べています。p12~p60あたりです。

たとえばp59には、

「統計力学でエントロピーは説明できる」という人がいる。しかし、この理論は逆であって、「エントロピーの原理に抵触しない統計力学が得られた」というべきなのである

と、記されていて、私は全くこの論理には賛成できません。この点では、槌田氏を信頼していません。
■もともとエントロピーは熱効率を考える上で定義されたものであり、本質的な定義は熱量をその温度で除した値です。それ故、槌田さんの言うとおりです。後から統計力学的な考えと比較した場合において、ボルツマン定数を介して、熱学的あるいは本質的な意味におけるエントロピーと統計力学的なエントロピーが矛盾せずに説明することが出来たにすぎません。

お返事有難う御座います

 近藤邦明さん、直接のご返事有難う御座います。

>■実はそれほど馬鹿なことを平気で言っています。例えば江守正多による

のご紹介のページ(TheorySurgeryさんも、しっかりご紹介いてましたね・・失礼)読ませて戴きました。

確かに江守正多は、

 >温室効果はいくらでも増えるのです。なぜなら、ひとたび赤外線が分子に吸収されても、その分子からふたたび赤外線が放出されるからです。

って述べていました。かなり稚拙なごまかし方ですね。このページのほかの内容も、以前より近藤邦明さんがご指摘の事に対する解答に全くなっていない低レベルな内容に驚きました。

>■通時的に赤外線放射を繰り返すなどと言うごまかしに惑わされてはいませんか

は、全くごまかされてはいません。私が疑問に思った事は、上のコメントにも書いたとおり、

>赤外線(光子)を吸収した分子が、再び同じ波長の赤外線を放出

してなくてTheorySurgery氏の論点どおり、
無放射緩和過程であっても
そのエネルギーは大気を暖めることになるから同じことと言いたかっただけです。

 しかし、驚いたことは、江守正多は、放射、吸収の度に大気を暖めるなどと言う事を主張して、あたかもエネルギーがないところから無尽蔵に湧き出てくるような書き方をしているので、それに対する反論をTheorySurgery氏が、書きたかったことは、理解しました。内容的にもTheorySurgery氏の主張どおりでしょう。

 しかし、この部分のCO2温暖化仮説の虚構性の議論においては、「無放射緩和過程」は、必要ないのでは、ないでしょうか?ただ単に、15μm付近の赤外線の範囲でのエネルギーの吸収による温暖化であって、それ以上のエネルギー吸収にはならない事を述べればよく、エネルギー保存則で十分な議論だと思われます。(上の私のコメントも、そこの部分で間違っていましたが・・)


>■もともとエントロピーは熱効率を考える上で定義されたものであり、本質的な定義は熱量をその温度で除した値です

は、そのとおりでしょうが、その場合エントロピー増大の法則は、どのように説明されるのでしょうか?
 私は、分子運動論的説明が、もっとも理性的であると考えます。「熱学外論」には、そこの部分が触れていません。だから、
p7
「熱は、エントロピーをもつエネルギーの流れであり、仕事はエネルギーを持たないエネルギーであり、全く同じものというわけにいかないから」
「 J と cal ・・単位を同じにしないほうがいい」 
等と言うもっともらしい論法が成り立つのではないでしょうか?一見理に適うようでも、次元解析において、同じ次元の物理量に違うものだとする解釈は、詭弁に感じます。

 ついでに、p13に
「分子運動論が正しいからと言って、熱素説を全否定する必要はなく、両者とも正しいとすればよい。」
も、詭弁に感じます。熱素は存在しないものですから・・・熱素を用いるか、熱の本質を分子運動と捕らえるかは、全く違うものです。比熱だって、潜熱だって、分子運動論で捕らえたほうが、本質的です。

 その後の、例は、私も同意していますが。
例えば
「『天動説は間違っている』というのも間違っている単に座標軸の取り方の違いである」
 など、槌田敦氏の言うとおりです。


 なんか、TheorySurgery氏のHPをお借りしての
『熱学外論』論になってしまって申し訳ありませんが、
 最高に素晴らしい本だけに、余計な部分が気になるのです。

次元と物理的意味の違い

>その場合エントロピー増大の法則は、どのように説明されるのでしょうか?
■素直に定義どおり、熱は不可逆的に拡散すると言うことで良いのではないでしょうか?

>「熱は、エントロピーをもつエネルギーの流れであり、仕事はエネルギーを持たないエネルギーであり、全く同じものというわけにいかないから」「 J と cal ・・単位を同じにしないほうがいい」等と言うもっともらしい論法が成り立つのではないでしょうか?一見理に適うようでも、次元解析において、同じ次元の物理量に違うものだとする解釈は、詭弁に感じます。
■これはかなり微妙な問題です。槌田さんが言うように、熱はエントロピーを必然的に内包したエネルギーです。それ故、熱エネルギーを100%運動エネルギーに変換することは不可能です。しかし、運動エネルギーはエントロピーを持たないエネルギーなので、100%熱エネルギーに変換可能です。この熱と運動の非対称性が、槌田さんの言う意味だと理解します。少なくとも熱と運動を等価とおくことは出来ず(=相互に等価変換は不能)、その意味で槌田さんの主張を支持します。
■次元解析で同次元で表されるものが、必ず物理的に同じ意味を持つと考えることに、実は最近疑問を持ち始めています。まだ私自身良くは理解できていないのですが、拙HPで沖縄高専の中本先生が連載している「気候シミュレーションとは何か」において、中心的問題の一つが実はこの問題なのです。ニュートンの運動方程式に始まる運動の解釈において、その根源にあるのは慣性座標系の存在の保証です。ところが、地球と言う局所回転座標系で表現された運動はニュートン的な意味での運動とは似て非なるものです。
■単純な話し、コリオリ「力」は力として処理すると便宜上都合よいように見えます。しかし、本来は慣性座標系で等速直線運動している物体を局所回転座標系で表現すると正に力の次元を持つ仮想力=コリオリ力が作用しているように観察されます。しかし慣性座標系で等速直線運動する物体には力は作用していないと言うのがニュートンの運動法則です。つまりコリオリ力は本来の物理的意味における力ではないのです。次元が同じと言うことは必ずしも物理的に同じことを意味しないと言うのは、詭弁ではなく、むしろ真理であろうと考えます。単純に次元解析で解釈してきた方法論に誤りがある可能性もあると考えるようになりました。重要なのは物理的な意味のほうだと考えます。この点につきましては、質問されてもこれ以上は私にも答えられませんので(笑)、あしからず。

さらなるご解答有難う御座います

ここで物理談義になってしまって、本末転倒でしょうけれど、失礼します・・。悪しからず・。

 >質問されてもこれ以上・・・

との事ですので、物理的解釈については、私の見解、解釈を述べさせて戴きます。


>■素直に定義どおり、熱は不可逆的に拡散すると言うことで良いのではないでしょうか?

なるほど、その通りですね(汗)。でも、それって、分子運動論的な解釈の基本ではないでしょうか?

「熱学外論」の私の主観が感じた欠点は、エントロピーの定義に厳密な割りに、その概念のイメージに触れていないと言うことです。

 それから、私が熱とエネルギーの等価性についていいたい事は、
 熱については、「熱素説でも、分子運動論でも説明出来る」とか言う次元ではなく、また、量子力学的不確定性原理とか言うものでもなく、
 「熱素は存在せず、熱の正体は、分子の乱雑な方向への運動エネルギー」だと言うことです。

>熱はエントロピーを必然的に内包したエネルギーです。

 と言う表現は、理解しにくい概念です。『エントロピーを必然的に内包』って表現的にもへんで、曖昧です。
 そういうよりも、やはり、熱から運動エネルギーの方向への変換は、統計(力学)的に、ほぼ不可能と言ったほうが、統計人間の私にはしっくりきます。(笑)

 エネルギーと熱は方向があっても等価でしょう。熱エネルギーは、エネルギーの形態の一つで、エネルギーの行き着く最後の姿でしょう。
水は高きから低きへ流れますが、水は水です。
 質量とエネルギーの等価ほどに区別できるものではないしょう。


>■単純な話、コリオリ「力」は力として処理すると便宜上

 ここの部分は、相対性理論の慣性質量と、重力質量の思考実験と同様の事ではないでしょうか?局所回転座標系で観測しているわけですから、コリオリ力は、絶えず位置が変わる(=動いている)天体(重力体)から、の重力が働いているのと、区別がつかないのではないでしょうか?
 ・・・確かにこのことで論議してもあまり意味ないですね・・・。お門違いかも知れません。失礼!

 
 まあ、「熱学外論」の『外論』が『概論』でない所以も非常に面白く、一般の熱物理学の本らしくない異説も興味深いところです。だからこの本が最高に面白いのです。これで、いいのでしょう。

 ただ、熱素説やら、分子運動論的、統計力学的アプローチを使わないエントロピーの解釈などは、私の直感に訴えない、面白いというよりも、奇を衒ったように感じる論理に感じたのです。

熱力学の世界と統計力学の世界の現象スケール

■■まず最初に、TheorySurgeryさん、誠に申し訳ありませんが、もう少しお邪魔します。

>■素直に定義どおり、熱は不可逆的に拡散すると言うことで良いのではないでしょうか?

なるほど、その通りですね(汗)。でも、それって、分子運動論的な解釈の基本ではないでしょうか?
■■基本的にそれは間違いです。エントロピーは熱機関の効率を考える上で定義された概念であり、本来統計力学や分子運動とは無縁の概念です。あくまでも統計力学的エントロピーは後からの意味づけです。

「熱学外論」の私の主観が感じた欠点は、エントロピーの定義に厳密な割りに、その概念のイメージに触れていないと言うことです。

 それから、私が熱とエネルギーの等価性についていいたい事は、
 熱については、「熱素説でも、分子運動論でも説明出来る」とか言う次元ではなく、また、量子力学的不確定性原理とか言うものでもなく、
 「熱素は存在せず、熱の正体は、分子の乱雑な方向への運動エネルギー」だと言うことです。
■■果たして熱はエネルギー一般と等価などと言えるでしょうか?熱の分子論的解釈は結構ですが、それ(分子運動)で熱というものを全て説明し尽くされるのでしょうか?光とは何でしょうか?
■■雑草Zさんは、運動と言うものを分子運動の運動スケールで捉えていらっしゃるのでしょうか?私はもともと構造屋ということもあり、運動とはマクロの熱によるエネルギー散逸が不可避な運動をイメージしています。正にエントロピーとはこの現象スケールで成り立つ法則でしょう。
■■分子運動や素粒子の世界の運動は(スイマセン、よく知りませんが・・・)可逆運動であり、時間の前後が無い、もっと言えばエントロピー増大則の成り立たない世界です。そこを苦し紛れにエントロピーは巨大数の法則であると言う方便で、とりあえず不可逆性を説明しはしていますが。

>熱はエントロピーを必然的に内包したエネルギーです。

 と言う表現は、理解しにくい概念です。『エントロピーを必然的に内包』って表現的にもへんで、曖昧です。
■■エントロピーの定義は(熱量)/(絶対温度)ですから、熱が存在すればそこに付随して必ずエントロピーが存在しますので、別に変でも曖昧でも何でもありません。更に熱は運動に変換される過程で更に新たにエントロピーを生み出します。それ故、同じ1Jの熱量は決して運動エネルギー1Jとは等価に変換されることはありません。

 そういうよりも、やはり、熱から運動エネルギーの方向への変換は、統計(力学)的に、ほぼ不可能と言ったほうが、統計人間の私にはしっくりきます。(笑)
■■私には、この説明のほうこそ実に曖昧に感じます、趣味の問題でしょうか(笑)。

 エネルギーと熱は方向があっても等価でしょう。熱エネルギーは、エネルギーの形態の一つで、エネルギーの行き着く最後の姿でしょう。
水は高きから低きへ流れますが、水は水です。
 質量とエネルギーの等価ほどに区別できるものではないしょう。
■■エネルギーとは何か?熱エネルギーというもの、運動エネルギーというもの・・・は実在するのでしょうが、エネルギー一般とは何ですか?ある仕方で熱エネルギーを運動エネルギーに変換したりその逆は行えますが(それでも等価の変換は不可能)、決して質的に同じなどと言うことは出来ないものだと考えます。


>■単純な話、コリオリ「力」は力として処理すると便宜上

 ここの部分は、相対性理論の慣性質量と、重力質量の思考実験と同様の事ではないでしょうか?局所回転座標系で観測しているわけですから、コリオリ力は、絶えず位置が変わる(=動いている)天体(重力体)から、の重力が働いているのと、区別がつかないのではないでしょうか?
 ・・・確かにこのことで論議してもあまり意味ないですね・・・。お門違いかも知れません。失礼!
■■直接ここの議論には関係ない、私の前回の書き込みの蛇足でしたが、ついでに。
■■座標変換の話しではすまないのです。また私の言っている局所回転座標系は質量を持つ天体と言っているわけでもありません。物体が環境から本質的な意味の力を受ける場合、物体には運動の変化だけではなく変形やそれに伴う物体内の様々な変化がおきます。ところが慣性座標系で等速直線運動をしている物体を、単に座標変換によって生じる見かけ上の運動として、コリオリ力という仮想力が働いたと仮定して説明しても見かけ上良いように見えますが、本質的には力を受けていないので、変形も、それに伴う物体内の変化もおきませんから、本質的に力を受けた物体の運動ではないのです。
■■つまらぬ問題のようですが、私たちに慣性座標系を特定できない現実ではかなり重要な意味を持ってくるかもしれません。特に地球規模の気候モデルのような巨大な運動学的あるいは熱学的、生物学的現象の輻輳する問題では。

■■今回はこの程度でお許しを(笑)。私にはこれ以上説明する能力がありませんので。

「熱学外論」を吟味し直してみます

 ☆TheorySurgeryさん、この記事の内容とはかけ離れた物理談義になってしまって、本当に申し訳ありません。 


 私も「熱学外論」は、一通り読んだだけですので、それなりに吟味したつもりでも、槌田敦氏の意図するところと違う解釈をしたのかも知れません。



 環境問題と同様、ここの物理談義でも不可知論は、無意味ですので、不可知論の方向へ行かないのが、共通の理解とさせて頂きます。


◇熱について
 摩擦で熱が発生することからもわかるとおり(熱素説のこじつけの説明は考慮しません)熱の本質は、分子の運動(エネルギー)である以上、エントロピーの元々の定義が何であれ、定義に熱量を使っているわけですから、分子運動論で説明されなければなりません。

>熱の分子論的解釈は結構ですが、それ(分子運動)で熱というものを全て説明し尽くされるのでしょうか?

 熱=分子の運動(エネルギー)
  (厳密には、エネルギーの形態とか、定義すべきでしょう)
ですから、当然出来ると考えます。
これが完全な理に適う説明で、
CO2温暖化説のような一つの仮説のレベルの話ではないでしょう。
 これを否定するのは、原子、分子の存在を否定するレベルの話だと思います。

 ブラウン運動が生命活動によるものではなく、分子のランダム運動、つまり熱運動によるものという事と同等の確かな事でしょう。

 
温度は、分子の(乱雑な方向への)直進のエネルギーですから、絶対0℃も存在します。
熱素説でもそれは説明できますが、理性的ではありません。

 熱の分子運動論的解釈は、ゆるぎない確立された理論と考えますが、熱にそれ以外の対抗できる解釈があれば、教えて戴きたいところです。



◇コリオリ「力」について、
円運動は、等速でも加速度が働いているわけですから
コリオリ力は、加速度運動している系から見た等速直線運動です。
 だから、その系から考えた時点で等速直線運動ではありませんから、上のコメントに書いたような、見かけの力が働いて当然ですし、その回転系から見れば、他の重力加速度等と同等に扱っていいし、別物扱いしなくとも、不合理は生じないと考えます。



 ○槌田敦氏の言うところの、
『物理学における四つの世界』 (p41、42)
も面白いところでありますが、それぞれの世界で成り立つ原理・法則が違うのは、納得できないですね。きれいじゃないです。

 最近それを統一する理論が出てきてるようですね。
 

コリオリ力についての訂正

 近藤邦明さんのコメントを読み直したら、主張の肝心なところを読み落としていたことに気付きました。・・ホントにお門違いなコメントでしたね。失礼いたしました。


>本質的には力を受けていないので、変形も、それに伴う物体内の変化もおきませんから、本質的に力を受けた物体の運動ではないのです。


 なるほど、そういうことですね。面白いですね。
この事については、邦明さんのおっしゃる通りかも知れません。「コリオリ力」は、単純に『力』とは、言えませんね。
「加速度は生じるけれど、力は働かない」
と、言うような矛盾を生じますね。

座標系の変換によって、生じたマジックでしょうね。どのように考えたらいいのでしょう??



 そう言えば、私が高校生の頃から解決出来なかった座標系の変換による疑問があります。
それは、運動エネルギーの差のエネルギーです。
例えば、速度20m/s から 10m/s に速度ダウンしたとき、失った運動エネルギー(=摩擦の熱エネルギーに変わった部分)は、150MJ (Mは、物体の質量、Jは、ジュール)ですが、
 これをこの物体と逆方向に10m/s の速度で等速直線運動する系から、観測すると、
速度30m/s から 20m/s に速度ダウンした事になりますから、
失った運動エネルギー(=摩擦の熱エネルギーに変わった部分)は、250MJ と、なってしまいます。

 こんな事も未だに解決できません。(思い出しました。)
 摩擦の熱エネルギーを分子運動で考えれば解決できるでしょうか?(笑)

誰か、矛盾のない解釈があれば、教えて下さい。 

 

エントロピーと熱力学外論の魅力

次元解析やガリレイ変換のような座標や慣性系にまつわる解釈など、なかなか興味深い話で勉強になります。古典物理に疎い私には余りフォローできませんでしたが、「熱力学外論」の魅力は十分に伝わってきました。少々値が張るので躊躇していましたが、これを機に手に入れた方がいいかなと真剣に悩んでおります(笑)。


エントロピーも実際に実験的に測ったりする機会があると、もう少し身近になるのかもしれませんね。各温度における比熱を測ることで、その物質のエントロピー変化を求めることができるようですが、絶対零度に到達することはできなくとも、絶対零度付近で比熱がゼロに近づくなど非常に興味深いことだと思います。


熱力学の第3法則
http://homepage2.nifty.com/eman/thermo/thirdlaw.html
デューロン・プティの法則
http://www008.upp.so-net.ne.jp/takemoto/dulong.htm


上記の参考サイトには、「絶対零度に近付くと膨張率も0に近付く」とあります。一方、水の場合は約4℃で熱膨張率はゼロになり、さらに低温になると、今度は熱膨張率は負の値を示すなど面白い挙動を示します。それでも、常温下において、有機溶媒に比べると、水の熱膨張率は非常に小さい値です。他にも、水は比熱や誘電率が異常に大きいなど特異的な性質を数多く持ちます。


水は水の惑星のエントロピーを宇宙へ捨てるためには欠かせない存在のはずですが、どうもIPCCなどの温暖化のシミュレーションでは水蒸気に関する記述が余りに少ないのではという気がしています。滞留時間が短いから放射強制力には含めないとする一方で水蒸気フィードバックで増加するなどと矛盾したことを言う人もいます。

物理談義になってしまって、失礼致しました

 この記事で、TheorySurgeryさんの言おうとしていた事、
「15μm付近の強い赤外線を吸収したCO2は、赤外線を再放しないで、無放射緩和過程を辿ることが圧倒的に多く、どちらにしても、15μm付近の赤外線のエネルギーの範囲での事」
も、理解できました。


「熱学外論」は、2部構成の本です。

 第二部は、自然環境と人間社会について書いていて、物理学の「熱学」とは、全く違うイメージの内容です。名著「環境読本」のような感じです。この部分だけでも、高い値段に見合う内容です。

 第一部は、開放系の熱学をいとも簡単に扱っていて、その部分は非常に評価出来ます。そこを素晴らしいと思う反面、分子運動論や統計力学的アプローチが必要ないみたいなことを書いていて、私は、そこが受け入れられない部分だったわけです。


 TheorySurgeryさんが、本文最後に、
>分子論的なメカニズムを無視して、マクロな現象を説明することは出来ないはずだ。マクロな現象の裏には必ずミクロな現象による裏づけがなされているはずなのだから。

を受けて始まった物理談義ですが、私もその通りだと考えまして、槌田敦さんに異議を唱えているわけですが、改めてTheorySurgeryさんは、どうお考えですか?

コリオリ力についての訂正の訂正

 加速度運動をする系から観測しても、その系で見て、静止している物体は、加速度による力を受けています。

邦明さんが局所回転座標系と言うところの、地球上から観察しても、地球上に存在する物体は、地球の回転による加速度を受けています。
 フーコーの振り子もその一つの証拠でしょう。

運動の変化だけではなく変形やそれに伴う物体内の様々な変化が

起きています。例えば、地球の赤道半径のほうが、極半径より大きいのは、遠心力の為です。
もっとも、一日で1回転程度の非常に小さな遠心力です。

 さて、
慣性座標系で等速直線運動をしている物体に働くコリオリ力は、地上から見れば、この遠心力と釣り合うように働くから、見かけ上力を受けていないようになるのでしょう。だから、変形も、それに伴う物体内の変化もおきないのでしょう。
 つまり、コリオリ力は、地上で静止しているものがいつも受けるべき遠心力を受けない方向に、力が釣り合う方向に働いているので、
れっきとした力として扱えると考えます。
 
 
 一つ疑問に残るのは、その場合、加速度に対して絶対座標系というものが存在しなければなりません。そうでなければフーコーの振り子も回らないでしょう。
 これも高校時代から解決していない疑問です。
大学に行っても、物理の根本原理に対する疑問は何も解決しなかったような・・・

議論こそ科学の醍醐味

まず、槌田さんの発言とされる次の文章について。
『「統計力学でエントロピーは説明できる」という人がいる。しかし、この理論は逆であって、「エントロピーの原理に抵触しない統計力学が得られた」というべきなのである』


この文章だけでは、槌田さんが統計力学によるエントロピーの説明を否定しているわけではないと思います。「統計力学的な説明もできるけど、その必要はない」ぐらいのニュアンスで言っているように感じます。しかし、やはりもとの文章を読まない限りは、そのニュアンスも私にはそれ以上分からないことです。


槌田さんの発言は、おそらく実用的な面を強調するためで、必ずしも分子論や統計力学による裏づけが必要ではないとまでは言っていないような気がしています。私の考えでは、自然科学は、まず自然という実態が先にあってから、それを数式などによって表すという感じになると思います。


エントロピーの原理が自然の本質として先にあり、後から数式による説明がなされたということのように感じています。ただ、読んでいない私がこれ以上憶測でものを言うのは失礼にあたるので、今度はちゃんと読んでから自分なりの意見を持ちたいと思います。


熱の定義については、Wikipediaの説明ですが、「伝導・対流・輻射」などのエネルギーの移動形態とあります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1
『熱はエネルギーの移動形態の一つである。物体間で仕事を通じて移動する以外のエネルギーの移動形態を熱という(伝導・対流・輻射)。「熱」という形態を通して移動したエネルギーの量を「熱量」という。人が感じることのできる「熱さ」「冷たさ」といったものは「温度」であり、日常会話の熱と十分区別する必要がある。』


私はまだ余り槌田さんの書物に触れてはいませんが、それでも槌田さんの本質をついた議論は貴重だと思います。それでも鵜呑みにするよりは常に自分で考え、雑草Zさんのように疑問を持つことは大事なことだと思います。


槌田さんは権威になるよりも、議論を望んでいると私は勝手に思っています。温暖化論のように議論を抑えようとしたり、なかったことにしようとすることが、もっとも科学的な態度としてはかけ離れたことではないかと思っています。今回は余りフォローできませんでしたが、わたしはいつでも議論は歓迎です。議論によって自分の考えを煮詰めたり、整理する助けにもなると思います。

熱・温度・コリオリ力

■熱を受取った物質の分子運動が活性化することは始めから認めています。熱は物質中ではその分子運動ないし分子振動を励起するので、熱が振動も含めて分子運動エネルギーに転化していると言う意味において(加えられた)熱=分子運動(の増加量)には特に異存はありません。ただ、分子運動のエネルギー状態を表す尺度としてはむしろ物質の『温度』のほうが適切です。

■ただし、雑草Zさんはそれを拡大解釈して熱の本質が分子運動であると言っているのです。この二つの主張の内容は意味が全く違います。私はその主張に沿うならば、分子の存在しない真空空間では熱は存在しないし、真空空間を隔てて熱が伝わると言うことは不合理だと言っているのです。つまり、熱の本質が分子運動と言う解釈は成り立たないのではないかと言っているのです。

■電磁波であれば光子(?)によって熱が伝達されるのであろうと思いますが、その上で雑草Zさんの主張の矛盾点をお聞きしているのです。雑草Zさんは『熱とは分子運動』だと定義しているのです。『電磁波自身の熱は、定義されようが、されまいが関係ありません。』はおかしいですね。雑草Zさんの定義であれば電磁波の熱は分子運動で定義されなければなりません。これが説明できなければ、分子運動が熱の本質と言う主張に誤りがあるのでしょう?

■『分子の運動が激しくなった=マクロに見れば、熱せられた事になるのです。』において『分子の運動が激しくなる』=『熱せられる』ことがすなわち物質が『熱』を受取ることであると解釈します。『熱』とは何か?

■私の理解は、『物質を構成する分子のエネルギー状態を励起させることが出来る、あるいは巨視的には物質の温度を高くする能力を持つ物理的実態の総称を熱と定義する。』です。具体的には光子であったり電子であったり力学的な仕事であったり、様々でしょう。こう定義すれば熱の量は具体的な実体の如何に関わらず、熱を吸収した物質のエネルギー状態の変化量、巨視的には温度変化の大きさで一元的に計測することが可能になります。

■『 第一部は、いとも簡単に記述した開放系の熱力学は、大いに評価いたしますが、古典熱学に固執する姿勢は、評価できません。』につきまして、何度も言いますが、対象とする現象の説明のために必要なければ敢えて統計力学的手法に言及する必要は無く、これにこだわるのは野暮です(笑)。私から見ると、『統計力学に固執する姿勢は評価できません。』(失礼)。これは雑草Zさんの趣味の問題です。槌田さんの本は『熱学外論』であって統計力学について書かれたものではありません。


■コリオリ力について。

■慣性座標系で等速直線運動をする物体Aがあったとします。この物体には力は作用していません。勿論加速度もゼロです。次に、この物体Aを局所回転座標系で観察します。物体Aは加速度運動しているように『見えます』。

■物体Aの軌跡を模倣しようとして、局所回転座標系に乗った観察者が、自分の固定されている局所回転座標系を慣性座標系であると仮定して運動を記述すると、コリオリ力という力が作用する物体Bの加速度運動として記述することになります。

■物体Bの運動とは、慣性座標系で実際にコリオリ力を作用させた加速度運動をする物体の運動に他なりません。

■局所回転座標系で観察した慣性座標系に対して等速直線運動する物体Aの重心の軌跡と、慣性座標系で加速度運動する物体Bの重心の軌跡は一致します。

■物体Aには力も加速度も作用していません。しかし物体Aの運動を模倣した物体Bにはコリオリ力と加速度が作用しています。仮に、物体が質点ないし剛体であれば、この2者の運動は等価とみなしても良いかもしれません。しかし空間的に広がりを持つ剛体ではない物体ではこの二つの状態は全く違う状態になります。

■現在の気候シミュレーションでは、質量を持つ天体である地球に固定された局所回転座標系(実際には回転しているだけでなく、地球の重心も加速度運動していますからより複雑になります。)を慣性座標系とみなして海水や大気を流体の運動として記述します。つまり座標の違いによる仮想の加速度運動を必然的に内包しているのです。そこでは本来は働いていない力が流体粒子に作用することになります。

■流体粒子は自由に変形し、受ける力によって体積(=密度)、粘性、圧力などがの属性が容易に変化します。更にその中でおきる水蒸気の相変化、それに伴う熱の放出・吸収、雲の発生などに大きな影響を与えます。そのことがまた流体運動を変化させることになります。

■この問題を回避するためには、運動を慣性座標系で記述しなければなりませんが、慣性座標系は何処に存在するのか、私たちには感知できません。

熱量保存則の範疇で語らないで下さい。

 間の論議がはしょられていますよ(笑)
メールで戴いた分の返事の返事をここに書いては、読んだ方が、混乱いたします。
こういう話の流れはないでしょう(笑)
(近藤邦明氏に変わって)TheorySurgeryさんすみません。(笑)



○熱について

 物体が熱を持つ為には、熱が伝わらなければならないと言うのは、熱素説的解釈です。
 エントロピーを論ずるのに熱量保存法則はないでしょう。
 
 熱が伝達される必要は全くありません。

 電磁波のエネルギーによって、物体の分子の運動エネルギー
が激しくなれば、それがマクロに見て、熱を貰ったことになるのです。

ここでの電磁波のエネルギーは熱エネルギーである必要は全くありません。 それこそ振動のエネルギーでも他の種類のエネルギーでも十分です。


 近藤邦明さんの反論は、熱量が保存されなければならないような表現ですが、

 熱はエネルギーの一つの形態ですから、
熱量保存則の範疇ではなく、エネルギー保存則の範囲まで広げて議論しなければなりません。

 例えば、摩擦で物体の運動エネルギーが熱に変わったというのも、(物体の組織的な同じ方向へのエネルギーとして定義される)物体の運動エネルギーが、(分子の乱雑な方向への運動エネルギーとして定義される)熱エネルギーに変換されたのであって、熱量は保存される筈もなく、熱素説のように、どこかから伝わってきたなどと矛盾のある説明は必要ありません。
 
 同様に、
例えば何かを燃やしたときに熱が発生しても、それは、どこからか熱を貰ったのではなくて、化学的エネルギー(結合エネルギーの差)が、熱になったのです。分子運動論で解釈すると、結合のポテンシャルエネルギーが分子運動を激しくした=分子の運動エネルギーが増えた=発熱
 と考えます。


それらと同じように
電磁波の
波動のエネルギーが、分子の運動を激しくした=マクロにみて熱を得た 
と考えていいでしょう。

 熱素ではなく、熱は分子運動だからこそ、熱はないところからでも、生み出されます。
つまり、他のエネルギーが熱エネルギー(=分子の運動エネルギー)に変換されるのです。
エントロピーの法則からも、その事は保障されます。邦明さんが何度も強調されている部分です。
他のエネルギーが熱エネルギーの方向にすすむと言うのが、エントロピーの法則でしょう。
 それは熱学的な熱量保存則には勿論反しますが、エネルギー保存則には、反さないのです。
そこが、まさに私の言う、
「エントロピーを語るのに、古典熱学はないだろう」と言う部分です。

『電磁波自身の熱は、定義されようが、されまいが関係ありません。』
は、全くおかしくありません。電磁波の熱が伝わったなどとは、全く言ってないし、言う必要もありません。電磁波のエネルギーが分子の振動を激しくした=分子の運動エネルギーが増えた=熱エネルギーになった・・のです。


>熱の定義については、Wikipediaの説明ですが、「伝導・対流・輻射」などのエネルギーの移動形態とあります。

 と、TheorySurgeryさんが書いていて、近藤邦明氏もそのような論を参考にされたのかと思いますが、
これを書いた方は、当たり障りのないあいまいな書き方をしたと思います。
  
それが、定義であると言われればそれまでですが、これをかかれた方の解釈には同意できません。とんでも解釈と言わせて頂きましょう。この定義で話してきても、以後話はかみ合わないでしょう。

私の説は、少し狭義かも知れませんが、普通に熱と言った場合、
「エネルギーの移動形態」
では、語感が合わないでしょう。
それこそ、古典的解釈の
「熱を持った」とか「熱量」とか言う言い方が出来るのは、
「移動形態」ではなく「量」だからです。では、なんの量か?どんなエネルギーの量か?と考えた場合、途中ははしょりますが、(今までのコメントで、いくらか触れています)
温度は、分子1個あたりの運動エネルギーの平均値(詳しくは、もう少し運動エネルギーの形態の規定が必要です。)熱量は、その運動エネルギーの総和という結論に達します。


 



○コリオリ力について

この前のコメントを丁寧にしっかり言いなおして戴いて有難う御座います。
 ここでの論点に、前に書かれたようなコリオリ力が力の次元でも、普通の力とは別物だという論点は見出せません(私がめんどくさくて見つけられなかっただけでしょうか・・・笑)。

コリオリ力に運動を変える働きはあるけれど、物体には力が加わっていないという議論は、あくまで思考実験のお話だと思いますが、地球規模の現象例を一つを具体的に述べていただければ、「コリオリ力は、運動の方向を変えるが、力は働かないので、力ではない」
と言う矛盾のような説明に、遠心力とコリオリ力などで矛盾なく説明可能と考えます。



○前のコメントに書いたように
地球上に静止している物体には、遠心力が働いています。ただ、1日1周程度だから、凄く小さな遠心力です。

 でも、


>局所回転座標系を慣性座標系であると仮定して

としたならば、コリオリ力も無視しなければ、同じ土俵で話せません。


 
>慣性座標系は何処に存在するのか、私たちには感知できません。
 
 は、私も全く同感です。絶対座標系というものがあるのは理に適わないようで、なければ、説明できない現象が存在します。

統計力学と量子力学の違い

 TheorySurgeryさんのおっしゃるように、
>槌田さんが統計力学によるエントロピーの説明を否定しているわけではない


ニュアンスはそうかもしれません。

しかし、彼は、p37で
「物質の構造を議論する物性論の分野では、統計力学で初めて理解できる現象は多い。しかし、この物性論以外の分野では、統計力学は無用と言ってもよいと思う」


と、述べています。これは、エントロピーの統計力学の説明は不要と言う事ではないでしょうか?


 量子力学は、不確定性原理に基づく物性の記述で、本質については不可知論的ですが(間違っていたら訂正願います)

 統計力学は、分子1つ1つの物理法則は成り立つけれど、多数過ぎて扱えないから、統計的に処理しようと言う手法です。本質的に不可知論ではありません。
 
 熱の本質が、仮に分子運動でないとしても、(私には認められませんが・・)
 熱を得た物体の分子運動エネルギー(振動も含む)は、より大きくなると言う部分は、誰もが認める部分でしょう。それならば、その観点からもエントロピーの法則は説明されなければなりません。

 この部分は、繰り返しになりますが、
TheorySurgeryさんが、本記事の最後に
>マクロな現象の裏には必ずミクロな現象による裏づけがなされているはずなのだから。

 と述べている事と同じ考え方でしょう。その点について、コメントを願います。そこから始まった議論ですから。

物理学の汎用性と適用限界

槌田さんの熱力学外論(p37)における以下の文章について。
「物質の構造を議論する物性論の分野では、統計力学で初めて理解できる現象は多い。しかし、この物性論以外の分野では、統計力学は無用と言ってもよいと思う」


この文章からは、統計力学の適用範囲が非常に大きいとも受け取ることができると思います。なぜ、「物性論以外の分野では、統計力学は無用」とわざわざ発言するのか、その意図が私には分かりません。物性論以外の分野とは、物理学以外の分野なのか、それとも、素粒子論などをさす言葉なのか、判断つきかねる言葉です。


物性論と一口に言っても、固体物理から気体や液体そして表面などを扱う物理化学など、かなり幅広い言葉だと思います。物性以外の分野に何を想定しているのか知りたくなりました。統計力学を熟知しているはずの槌田さんが統計力学を否定しているとは、私には余り考えられないことです。むしろ、今の統計力学の適用範囲や物理学の限界を示すために、あえて発言されたのだろうかとも感じました。

そうですね。敢えて発言したのかも知れませんね。

 なんだか、槌田敦さん批判のような立場で書いてしまっていますが、
 実は私の当面の不都合な真実(笑)は、現在手に入る槌田敦さんの書物は、大体読んでしまって、(と言っても5,6冊ですが・・)欲求不満状態だと言うことです。


 「熱学外論」の第2部などは、本当は、あの名著「環境読本」よりさらにひとまわり素晴らしいのです。目から鱗の内容が沢山ありました。
 「熱学外論」が、私が今年読んだ自分の最高評価の本であることにも変わりありません。


 「概論」でなく「外論」の由来も素敵です。
『あとがき』には、化学者である槌田敦さんのお父さま槌田龍太郎氏が(TheorySurgery 氏も確か化学専攻でしたね!?)無機化学者として最初に書いた本を「化学外論」とした理由について
「正統的学説ではなく、異説を書こうとしたからであった。異説が出なければ、科学は進歩しないという信念による」
とあります。


 だから、それに習って名付けた「熱学外論」に、槌田敦氏もきっと異説を書きたかったのでしょう。ただ、異説を、
「・・・という説、考え方もある」
という書き方ではなく、断言口調で書いたので、私は抵抗を覚えたのでしょう。抵抗感がある一方、この、断言口調で科学者らしからぬ面白い文体は、惹かれる部分が大いにあります。

 我が敬愛する「熱学外論」の批判はもう十分したので、この辺でやめておきましょう。

 失礼致しました。
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社会科学と疑似科学の際どい境界線を探りながら、文系と理系の学問の乖離やらを考えています。分光学を視点として温暖化懐疑論も展開してます。

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