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フロイトの学説と親和するフェミニズム運動

ジュディス・ハーマンの学説

PTSD(Post-traumatic stress disorder;心的外傷後ストレス障害)という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。PTSDとは心に加えられた衝撃的な傷が元となり、後に様々なストレス障害を引き起こす疾患の事だそうだ。俗にいうトラウマ(心的外傷)が、深刻になったものと思えばいいだろう。日本でPTSDが話題になったのは、湾岸戦争症候群などともに言われだしたのが最初だろうか。


1980年代以降、心的外傷が精神疾患を引き起こすというフロイトの初期の理論を安易に援用し、抑圧された性的虐待の記憶を引き出せば精神疾患は治ると考えた未熟なカウンセラーが催眠療法(アミタールなど催眠系の薬物を利用したものもあった)を行い始めた。この分野の権威であった精神科医ジュディス・ハーマンも催眠療法を勧めた。ハーマンらの動きに対し多くの人は賛同し、性的虐待記憶は一種のブームとなった。


その結果、1980年代から90年代にかけてアメリカではカウンセラーの誘導によって「幼児期の性的虐待」の抑圧された記憶が「甦った」と主張する人々によって、多くの親たちが子どもに性的虐待で訴えられるという事件が相次いだ。当初は、その多くが勝訴し、多くの父親が投獄された。


1988年には、エレン・バスとローラ・デイビスの著書『The Courage to Heal』(邦題『生きる勇気と癒す力』)が出版される。この書物は虐待されたと感じているなら虐待されていると主張し、読み方によってはあらゆる「生きにくさ」は幼少期の性的虐待記憶にあるというように読めるものであった。このために、多くの人が思い出したがるようになった。


中でも、1989年のジョージ・フランクリン事件では、父親が友人を強姦して殺害した記憶を衝撃のあまり抑圧していた女性が20年後にカウンセリングをうけているうちにその記憶が甦って、父親を殺人容疑で訴えている。1990年には、ジョージ・フランクリンは殺人罪で有罪判決を受けたが、その決め手となったのは実の娘の証言だった。その後、この判決は上訴審で覆されている。


この審理に鑑定人として召喚された「偽造記憶」の専門家E・F・ロフタスは、原告女性が「思い出した」とされる内容がすべてメディアですでに報道されていた情報(誤報も含めて)から構成されていることを論拠として、彼女の言う「抑圧された記憶」なるものが、原告女性がカウンセラーの誘導によって創作した「物語」ではないのかと疑義を呈して、ハーマン理論を批判し、アメリカで一大論争を巻き起こした。


性的虐待の問題はフェミニズム運動とも深く関わっており、そのため、ロフタスが、記憶研究の立場から「抑圧された記憶」の正確さに疑いをさしはさんだ途端、ロフタスはフェミニストたちから旧弊な父権主義者として攻撃されることになった。


一方、ジュディス・ハーマンは、1992年に『心的外傷と回復』の中で、PTSDと呼ばれる精神的な障害の主因が「抑圧された記憶」(その多くは幼児期の親によある性的虐待)であるという理論を掲げて、九十年代に全世界で圧倒的な支持を受けた。PTSDが精神医学的な疾病単位として認められるようになった背景にはフェミニストの熱心な運動があった。


しかし、1990年代初頭は「虚偽記憶」の可能性が重視されマスメディアも多くこの話題を取り上げ、1990年代半ばに入り無罪の親がさらに脚光を浴びることになった。ハーマンの賛同者らはそれに対して手紙などを用いてロフタスを脅迫する事態となったが、ハーマンが勧めた催眠療法は様々な問題点があるとされ、1995年からこれを医療事故とみなし訴訟が始まった。


その後1997年にはカウンセラーが催眠により性的虐待の記憶を呼び戻す治療法(すなわち、すべての記憶を取り戻さなくては健康は回復できないという考え)はアメリカ心理学会ではほとんど支持を失った。この後2000年ごろまでこの問題はくすぶり続けたが回復記憶セラピー(RMT=en:Recovered memory therapy)が非常にまれなものとなった事でこの論争は大体決着がついた。こうしたセラピーを通じて思い出したが後に性的虐待をされていなかったと認識した人は何百人にも上った。


ちなみに、ニューヨークのフェミニストでUFO研究家、かつ心理学者でもあるナオミ・ウルフバーグは「アメリカ女性の10人に1人が、過去UFOに誘拐され、その半分つまり600万人が何らかの性的虐待を受けているのです」と語る。彼女によれば記憶のとぎれ、身に覚えがない打撲傷、性的欲望の喪失、無力感、飛行の恐怖、蛇嫌い、罪の意識、覚えのない妊娠のうち5項目以上が当てはまれば被害者といっていいという。
痴漢冤罪と証言の信憑性
最近、日本では、「それでもボクはやってない」という痴漢冤罪を題材にした映画が上映されている。確かに、これまでは泣き寝入りしていた女性のために、法的な制裁を強める必要があったのだろう。しかし、痴漢の場合、「この人が痴漢をした」と証言するだけで犯罪が成立してしまう。世の大多数のサラリーマンはいつ冤罪に巻き込まれるか分からないから、女性専用車両に対しても混雑が増してしまうデメリットがある中で、複雑な心境にあるのは間違いないと思う。果たして、人間の証言にどこまで信憑性を問うことができるのだろうか。


「自分らしさ」とジェンダーより

『ロマン主義は、何かまずいことが起こった時に「その原因はこれだ」というものを名指して、その「悪の根源」を排除すれば問題はすべて解決するという、とても単純な思考法に陥ってしまう。「悪の根源」を排除すれば問題は解決するという以上、「人間自体は本来すばらしいものだ」という前提が不可欠である。つまり、このような単純な思考法で満足するためには、ロマン主義的な人間観を前提に置く必要があるのである。』

theme : 擬似科学
genre : 学問・文化・芸術

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UFO

UFOUFO(ユーフォー)#未確認飛行物体の意。本稿で詳述。#日清食品が開発した焼きそばの製品。「うまい、太い、大きい」の略。#ピンク・レディーのシングル曲。作詞は阿久悠、作曲は都倉俊一。1977年12月5日発売。1978年オリコン年間チャート1位を記録。

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