脳科学と心理学今、
脳科学ではfMRIやPET,
光トポグラフィーなどの強力なツールによって次々と新しい知見が得られている。
脳科学は、心理学などにまたがる学際的な研究分野に対しても積極的な働きかけを行っている。
川島隆太は脳を活性化させるゲーム、いわゆる
脳トレなどの開発に積極的に関与している。一方、巷では、日大の
森昭雄を中心に「
ゲーム脳」などの怪しい言説も目立つようになってきた。
これまで、
精神分析学では「抑圧された記憶」(無意識下に封印された記憶)というものを想定してきた。 Wikipediaの「抑圧された記憶」の項には次のような記述がある。『このような記憶がある可能性は否定できないが、無理に思い出させようとした一部のフェミニストやセラピストにより「全く性的虐待を受けていない人」が「性的虐待を受けたと思い込む」事態となった。』
エリザベス・ロフタスは、抑圧された記憶(性的虐待等の抑圧されたトラウマ記憶)を引き出そうとすることは、実際には「思い出された嘘」に過ぎないと指摘し、虚偽記憶が作り出される可能性を実験的に証明している。
しかし、これに対し、
還元主義者でもあるエリック・カンデルは実際に抑圧を可能にする神経メカニズムも存在することを実験で証明し、この問題はさらにややこしい状態となった。エリック・カンデルは脳の生理学的研究でノーベル賞も受賞しているが、もともとは
精神分析医を目指していた。いずれにせよ、
脳科学的アプローチを用いた心理学のメカニズムの解明は、最もホットな分野の一つであろう。
よみがえるフロイトフロイト再来の悪夢 精神分析学における治療上の有効性(
wikipediaより参照)
いわゆる催眠などを用いた回復記憶セラピー(2000年頃までに停止)による性的虐待の虚偽記憶の発生問題で抑圧された記憶の実在性に疑問を呈する人も少なからずいる。
この抑圧された記憶をめぐる論争の結果、何十年も封印されていたアメリカ議会図書館の中にある膨大なフロイトに関する文献が、専門家に公開された。それにより彼がしたとされる治療例の殆どが、希望的観測と意識的作り話の所産であったことが証明された。
この問題に関しては、現在
脳科学の分野の専門家らにより果たしてフロイトの述べたことがどれだけ正しいのかが研究されている。そのため、今まで分からなかった多くのことが分かってきており、抑圧された記憶も何らかの形であるのかもしれないという事も分かってきている。
だが、現在フロイトの述べたことがどれだけ正しいのかは断定できないと言ってよい。
夢の科学 (新書)『精神分析は存亡の危機に瀕している。神経科学的な修繕を多少施したところで、どうにかなるものではない。仮に修繕するとしても、あまりにも修繕箇所が多すぎるので、多くの神経科学者は、それよりもむしろ、神経認知的なモデルをゼロから作り上げる方を好むだろう(アラン・ホブソン)』
3‐2.心理学は文学か?
theme : 擬似科学
genre : 学問・文化・芸術
tag : 脳科学 ゲーム脳 光トポグラフィー 精神分析 還元主義 脳トレ 川島隆太 森昭雄