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温室効果の理解と宇宙気候学の進展

大気中の赤外活性分子による「温室効果」を理解したいと思っている人は少なくないと思う。しかし、世間一般に流布されている温室効果の説明に満足できるものはほとんどないといっていいだろう。なぜなら、物理学の基礎である熱力学の第二法則を無視した説明が平然とまかり通っているのが現状である。そこで、私はこれまでに「Gerhard Gerlich et al. (2007)」のレポートを二回にわたって紹介した。


解き放たれたアレニウスの呪縛
理論物理学による温室効果に対する反証


Gerlichらのレポートは最近になって総説(Review Paper)として物理学雑誌に受理されている。


"Falsification Of The Atmospheric CO2 Greenhouse Effects Within The Frame Of Physics"
G. Gerlich and R. D. Tscheuschner, Int. J. Mod. Phys. B, 23, 275-364 (2009)


論文の内容についてはプレプリントではあるが、次のサイトにpdfとして配布されている。


http://arxiv.org/abs/0707.1161


総説を読みこなすのは大変なことだが、時間のある人は一読してみるといいかもしれない(たとえば、気候モデルでは大気の熱伝導率をゼロとおくことが慣習となっていることなど、ほとんどの人は知らなかったのではないかと思う。)。温室効果の理解の助けになる日本語のサイトとしては、近藤邦明氏の「総括 気温変動と大気中CO2の関係」、「『温室効果・再放射』再考」などがある。私は大気からの「再放射」という言葉によって、温室効果の理解を間違えたことがあります。言葉の不十分な定義は無用な混乱を生じさせます。


私が温室効果に対してもった初期のイメージとしては、比熱が生じるメカニズムをミクロな視点で考えることで、そのアナロジーとして地表と大気の間で付加的な保温効果が生じるのだろう、といったことを考えました。比熱は物質の持つエネルギー準位によって規定されます。しかし、あまりにも高いエネルギー準位は比熱に寄与しません。水蒸気や二酸化炭素は、調度、赤外領域にエネルギー準位を持っており、その放射によるやり取りに注目したものが温室効果ではないかと考えました。


結局のところ、地表から大気(あるいは宇宙)への放射の条件と、上層大気から宇宙への放射の条件のみに注目すれば、後のエネルギーのやり取りは余り考慮する必要性を感じませんでした。つまり、地表放射に対しては、大気の窓を閉める余地があとどれくらい残されているのだろうか。大気上層に関しては、局所熱力学平衡にある大気高度と、非局所熱力学平衡にある大気高度で、光学的厚さの増加に対する放射の振る舞いに違いがあるのではないだろうか、といったことです。


大気の窓は雲によって開閉されます。「アイリス仮説」によれば、熱帯の気温が一定に保たれている原因として、雲がアイリスの「絞り」のように開閉し、放出するエネルギーを調整しているのではないかと考えられています。この効果は放射平衡温度の見積もりにどのように寄与するでしょうか。また、海洋や対流の重要性も忘れてはなりません。さらには、霧箱の原理を地球大気に当てはめたスベンスマルク効果があります。宇宙線や太陽活動を含めた研究は、「宇宙気候学」といった分野で行われています。


宇宙線はオゾンホールとの相関も指摘されています。さらには宇宙線が生命進化などにも影響を及ぼしてきたのではないかとの説もあります。点と点を結ぶことで、おぼろげながら見えてきたことがあります。私達は来たるべきパラダイムシフトの瞬間に立ち会っているのかもしれません。


"Correlation between Cosmic Rays and Ozone Depletion"
Q.-B. Lu, Phys. Rev. Lett., 102, 118501(2009)


" From galaxy to genome: A perspective on snowball Earth and Cambrian explosion"
Shigenori Maruyamama


"Models on Snowball Earth and Cambrian explosion: A synopsis"
S. Maruyama and M. Santosh, Gondwana Research, 14, 22-32 (2008)

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