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人文“科学”という名の疑似科学

人文科学という言葉に違和感を持っている人も多いだろう。なぜ、人文に科学がくっ付いているのかと。そんな中、「ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ・上」(福島隆彦)という本の中に参考になる記述があったので、抜粋させてもらった。やはりというか、日本の学問の分類には大きな問題があったようだ。もちろん、人文科学は科学ではない。それでも科学と言い張るのなら、疑似科学とみなされてしまうだろう。



学問体系
(Ⅰ) 神学 theology
  (philosophy 哲学?)
 (mathematics 数学)


(Ⅱ) 学問 Science
  自然学問 : 物理学・化学・生物学etc. (医学も一応ここ)
  社会学問 : 経済学・政治学・社会学・心理学(?)
        (※法学は、経験学問だから、ここに入らない)


(Ⅲ) 文学=下等学問 (初級学問) =人文 (Humanities)
   (人間の過去の文献をあれこれ扱うこと)
    =liberal arts (リベラル・アーツ、教養学)  
     これがいわゆる日本の「文学部」だろう。

(人文とは、元々、生活の知恵。及び古文書や石碑を解読すること)
従って歴史学は確実に人文である。言語学もここ。




神学は学問と闘っている
(「ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ・上」より抜粋)

『学問(サイエンス)というのは、世界性の別名であり、世界基準での思考体系のことである。冷酷な事実からなる組み立てである。…数学は、もう一つの世界言語である。』


『フィロソフィー(知への愛)は、神学(Theology)の下女の位置にある。そして、大きくは、サイエンス(学問)=「自然界の事実を冷酷に法則性として記述すること」の体系と、この千年にわたって戦い続けてきたのである。・・・(中略)・・・サイエンティストは、ガリレオ・ガリレイやアイザック・ニュートンの例に見られるように、「冷酷な諸事実からなる体系」としてしか世界を理解しない。だから、今でも神の体系(神学)と相容れず闘い続けているのである。』


『もともとサイエンスは、物理学、化学、生物学などの自然学である。これ以外に、ソシアル・サイエンス(社会科学)として、経済学、社会学、政治学、サイコロジー(心理学)がある。しかし、これらが果たしてサイエンスとして自立できたか否かは今でもわからない。経済学だけが、辛うじて六〇パーセントほど、冷酷なサイエンスとして成功しているらしいが、これも怪しい。あとは、すべて大失敗らしい。だから、今でも政治学者と政治評論家の区別や優劣がつかないのだ。』


『これ以外に、いわゆる下等学問としての「人文」というのがある。これはヒューマニティーズhumanitiesの日本語訳である。ヒューマニティーズとは「人間及び過去に記録された文字に関わること」という意味である。簡単に言えば、現在でいう文学(部)のことである。他に歴史学があり、その内容である古文書や碑文の解読などを行う。

・・・(中略)・・・

これとサイエンス(学問)の区別をつけなければならない。これが日本人にはできていない。すべてがごちゃまぜなのが日本の大学制度である。国家的学問犯罪と呼んでもいい。

・・・(中略)・・・

さらには「文学部哲学科」や「文学部心理学科」などという恐るべき学問分類を行っていて、恥ともなんとも思っていない。あるいは、「人文科学」などという奇怪な言葉を、文部科学省はじめすべての教育機関が使っている。「人文」が「科学」なわけがないではないか。こんなメチャクチャな知識体系の国はほかにないだろう。』(p324)

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theme : 疑似科学
genre : 学問・文化・芸術

疑似科学化した社会科学の危機感

疑似科学者の傾向

懐疑論者のマーティン・ガードナーは、疑似科学者の傾向として五項目を挙げている。

・自分を天才だと考えている。
・仲間たちを例外なく無知な大馬鹿者と考えている。
・自分は不当にも迫害され差別されていると考えている。
・もっとも偉大な科学者や、もっとも確立されている理論に攻撃の的を絞りたいという強迫観念がある。
・複雑な専門用語を使って書く傾向がよく見られ、多くの場合、自分が勝手に創った用語や表現を駆使している。



(疑似科学-wikipedia)


この擬似科学者の項目を見ていると、ポストモダンの哲学者たちがおかした過ちは、最後の項目にぴたりと当てはまるだろう。難解な用語を好んで用いるポストモダンの哲学者には、「オッカムの剃刀」と言う言葉を教えてあげるといいだろう。


ポストモダンの哲学による科学用語の誤用と濫用は、アラン・ソーカルが指摘し批判している。これは、後にソーカル事件とも呼ばれるようになった。(文系学問における疑似科学批判と言えば、カール・ポパーが有名だが、最近だと、ロジャー・G・ニュートンが、啓蒙主義者とロマン主義者による科学の混乱を指摘している。『科学が正しい理由』


ニセ科学が受け入れられる土壌
「ニセ科学入門」というホームページでは、ニセ科学が受け入れられる理由として「科学らしさ」に加えて、「願望充足」を挙げている。「願望充足」の例としては、子供にゲームのし過ぎを注意したい親御さんが「ゲーム脳」に賛同したり、小学校の道徳教材として「水からの伝言」を用いる例が当てはまるだろう。科学の受けての方にも、疑似科学をのさばらせてしまう土壌があるようだ。


特に、「ダイエット」とか「美容」のことになると、女性は盲目になってしまう傾向が強いのだろう。ただ、難しいのは、科学ではないが、宗教などは、まさに「願望充足」との親和性が極めて強いし、「占い」や「スピリチュアル」などを含めると非常に微妙な問題をはらんでいる。あれは一つの信仰のあり方と言われれば、他の宗教と同じく認めざるをえないだろう。ただ、カルトに対する警戒は疑似科学と同じく怠ってはならないことだ。
(ニセ科学入門)


社会科学における学問としての危機意識

今日では、社会科学は様々な批判を浴びており、その現状に対して危機感を抱く人は少なからずいるようだ。そこで、少しだけネットで見つけた例だが、そこから引用させてもらおう。


『疑似科学は上で挙げたような「怪しい」分野のみならず、大学で研究されている「れっきとした」学問の中にもはびこっている事がたびたび指摘されており、哲学者や文芸評論家、文芸理論家などが自分の説を権威づけるために(専門家から見れば)デタラメな科学的知識を並べたてているのが散見される。』

文科系の学問における疑似科学


『物理学者ソーカルによって、ポストモダンを標榜する者たちが、衒学的であり(読者が解らないことをいいことにデタラメな数式で根拠づけており)、相対主義である、として非難された事件である(ソーカル事件参照)。"ポストモダン"評論家の数式を装ったまやかしの記法を指摘したソーカルの指摘は正しく、ポストモダンの評論家からはソーカルに反論する者すら出てこなかった。結局、"ポストモダン"に関わっている者がしていることは、ある種のまやかしの活動であり、学問に大切な誠実さが根本的に無い、』

ポストモダン - Wikipedia


『ポストモダン思想は、古典的な絶対的「正しさ」の観念を相対化し、現代社会の「内的な自由」の精神の核心をよく表現したという点で、きわめて大きな存在意義をもっていた。しかし、われわれはいま、それが現代の批判思想として挫折している本質的な理由をよく理解する必要がある。その多様な側面をさまざまにつなぎ合わせて何か新しい思想を生み出せるかも知れないと考える人も多いが、それは空しい錬金術にすぎない。』

ポストモダン思想は終わったのか?


『人文系と分類されている学界では、まだ理論と人名の分断がなされておらず、その論文が理論的説得ではなく、権威的説得に頼ろうとしている風潮が高いように感じられます。しかしながら、背後にある伝統的システムを健全なものとみなし、そこから生産された権威の提示を強調することは、理論的貧困性を招来するのではないかと危惧します。』


幽霊の哲学


『(東大を初めとした理論系社会学の)それらの大学では、教員の多くが理論の輸入や解釈を主目的としているため、新しい知見の発見は困難である。そのため国際学会での発表経験が乏しいか、発表能力がほとんどない教員も多い。このような深刻な事態の背景には、かつて日本の大学に予算や調査能力がなかった時代には、理論研究のみしかできなくても、やむをえなかったという事情もある。しかし今日では、現実社会と距離のある抽象的な理論社会学研究に対しては、かなりの社会的批判が存在するのも事実である。』

社会学-wikipedia


『精神分析は存亡の危機に瀕している。神経科学的な修繕を多少施したところで、どうにかなるものではない。仮に修繕するとしても、あまりにも修繕箇所が多すぎるので、多くの神経科学者は、それよりもむしろ、神経認知的なモデルをゼロから作り上げる方を好むだろう』


アラン・ホブソン著「夢の科学」 (新書)


『日本では、心理学が医学・生理学を含む他の理系分野と方法論的に協力・融合可能な学問であるという認識が、双方の研究者で低く、交流を妨げている。先ずは日本の実証的な心理学の位置づけを再検討し、他分野と協同し易い体制を整える事が必要である。』

3‐2.心理学は文学か?


社会科学の今後の展望
社会科学は、心理学や言語学などの分野では、脳科学などの協力により急速に科学らしさを取り戻している。では、他の分野の社会科学は余り科学的に厳密でないから重要でないかと言うと、事態はまったくの正反対だ。地球温暖化や資源配分の問題や貧困の問題など、グローバル化した現代社会においては、社会的・文化的な要請は非常に強いものがあり、社会科学の存在意義は将来ますます重要になると思われる。OECD(経済協力開発機構)のホームページにはこうある。


「暴力の増大,高齢化,民族間闘争,地球温暖化,これらの問題はしばしば誤解されている社会科学にその真価を実証する機会を提供している。しかし社会科学自身先ず変われるであろうか。」

社会科学を伴った将来へ

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疑似科学に踏み込む脳科学

脳科学と心理学
今、脳科学ではfMRIやPET,光トポグラフィーなどの強力なツールによって次々と新しい知見が得られている。脳科学は、心理学などにまたがる学際的な研究分野に対しても積極的な働きかけを行っている。川島隆太は脳を活性化させるゲーム、いわゆる脳トレなどの開発に積極的に関与している。一方、巷では、日大の森昭雄を中心に「ゲーム脳」などの怪しい言説も目立つようになってきた。


これまで、精神分析学では「抑圧された記憶」(無意識下に封印された記憶)というものを想定してきた。 Wikipediaの「抑圧された記憶」の項には次のような記述がある。『このような記憶がある可能性は否定できないが、無理に思い出させようとした一部のフェミニストやセラピストにより「全く性的虐待を受けていない人」が「性的虐待を受けたと思い込む」事態となった。』


エリザベス・ロフタスは、抑圧された記憶(性的虐待等の抑圧されたトラウマ記憶)を引き出そうとすることは、実際には「思い出された嘘」に過ぎないと指摘し、虚偽記憶が作り出される可能性を実験的に証明している。


しかし、これに対し、還元主義者でもあるエリック・カンデルは実際に抑圧を可能にする神経メカニズムも存在することを実験で証明し、この問題はさらにややこしい状態となった。エリック・カンデルは脳の生理学的研究でノーベル賞も受賞しているが、もともとは精神分析医を目指していた。いずれにせよ、脳科学的アプローチを用いた心理学のメカニズムの解明は、最もホットな分野の一つであろう。

よみがえるフロイト
フロイト再来の悪夢

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theme : 擬似科学
genre : 学問・文化・芸術

tag : 脳科学 ゲーム脳 光トポグラフィー 精神分析 還元主義 脳トレ 川島隆太 森昭雄

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TheorySurgery

Author:TheorySurgery
社会科学と疑似科学の際どい境界線を探りながら、文系と理系の学問の乖離やらを考えています。分光学を視点として温暖化懐疑論も展開してます。

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